八丈陶房で弟子だった頃、フィリピン出身の女性の弟子がいた。
現在も出身地で陶芸の仕事を続けている。
彼女がまだ轆轤を習い始めの頃、よく「プラクティス、プラクティス」とひとり
つぶやきながら轆轤を回していたのを思い出す。
故郷を離れて日本の離島で陶芸の修業をして、心細さを感じながらも「負けないわ、
練習よ練習、訓練あるのみ」というところだったのだろう。
あれから数十年が経っている。
彼女が今どう思っているのか、知る由もないが、私は私で毎日「ぷらくてぃす」の
繰り返しである。
来る日も来る日も土(粘土)を練り、轆轤を挽き、窯を焚き、そして又土を練る。
繰り返しの中で、人とふれあい、世の中を知り、人と別れてきた。
仕事自体はそんなに変化は無いが、世の中は日進月歩速度を増してそれに反比例してどんどん人の心は冷えて来ているように思える。
こんな状況でいいのか?と思う事象が日々矢継ぎ早に起こっている。
一地方の片田舎に住む無名の陶工が心配する事では無いのかもしれないが、
世の中一事が万事。よくよく身辺に気を付けながら生きていかないと。
なんともおかしな世の中になったものだ。
本日は本焼きの窯詰め中。
アレコレと考えながら私は私の「ぷらくてぃす」を繰り返している。
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