想いを寄せて③

 


素焼きを無事終えて、個々の作品の点検ヤスリ掛け作業等を経ていよいよ釉薬を施す作業に入る。まぁこの時点では既に頭の中ではどの作品にはどの釉薬と決めてはいるのだが、実際に行動に移すと、ズブ掛けか、ヒシャク掛けか、有効性の高い手順で実施する。この際、各釉薬の薄さ厚さも焼成後の結果に影響するから、十分注意して臨む。釉薬の施し方も様々あるが、ここでは省く。

「やきものの町」と称している(既に今やその呼称は無いかもしれないが)此処益子町でやきものやとして暮らしているが、特別にその恩恵にあずかったことは無い。逆に今やこの職業一本で生活してゆくのは如何なものだろうと危惧している。と思いつつもこの仕事を永年続けてきた身としては、もはやこれ以外自分の立つ瀬が他にあろうなどとは思いもしない。勤め始めた事はその道の果てが如何なものなのか自分なりに見極めたい。

閑話休題。

それぞれに施釉された作品をいよいよ窯の中へ入れる。窯の下部中部上部、手前中央奥、と炎の受け方は微妙に異なる。各釉薬のクセも加味して、それぞれがなるべく最適と思われる個所に配置したいものだ。素焼きと異なり、本焼きの場合は作品どおしを重ねたりくっつけたりは御法度だ。ここまで書いて思うのは、自分の窯で自分の作品を焼くわけなので、自分の窯のクセを充分知り尽くしてないと面白くない。要は、窯焚きを繰り返し実行してその都度ごとの覚書のようなものを、出来れば記しておきたい。これはあくまでも自分のためのファイルである。他人がわかる必要はない。本焼きに要する時間、その焚き方等は作家それぞれで統一性はない。大筋は一緒だが。

酸化焼成。還元焼成。炭化焼成。大まかに言えばこの3通りの焼成方法がある。火元から煙突を出てゆく酸素の流れをその道筋でどうコントロールしてゆくか。それこそがポイント。炎との会話、相談、闘い、何とでも表現は可能。やるべきタイミングでやるべき処置を行わないと、思わぬアクシデントにつながる。焼成中、一番神経質になる時間帯がこの本焼きにはある。海炎窯では、窯焚きごとのデーター(紙)を残している。どのような気象状況、温度、焼成時間、ガス窯なので残ガスがあとどの程度使えるのか、窯内のどこに何(作品)を入れたのか、すべて自分のために、あとあとの仕事のために残している。やきもの、で食べていくのは大変なことだ。生半可な気持ちでは途中で挫折するのは目に見えている。

何はともあれ、誠に大雑把ではあるが、「窯焚き」について記してみた。これを読む方々はやきものやの何をどう感じられるのだろう?

さて、窯詰め整いいよいよ窯に火入れする。お楽しみはこれからだ!

※写真は本焼き窯詰め最中のマグカップ。

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