続「まちの駅 千住堀 手びねり会」第一回を終えて


今回二日間で集まった30数名の方は、ほぼ初心者。一部過去において陶芸教室の体験者はいたが、その時の事はこの場において一時忘れていただいた。

皆さんは都会で生活をして暮らしておられる。いわゆる”土”の感触からは遠ざかっていた方たちだ。

ピンポン玉位の粘土を手にとって頂いて、丸くこねる頃から人本来の原始が戻るらしく、”気持ちいい・いやされる・冷たく柔らかな感じがいい”等、作業を始めた当初の顔の緊張が徐々にほぐれてゆくのを確認した。

粘土を”紐状にする”という事がこんなにも難しい事だというのを、改めて知らされた。
普段仕事をしていて、当り前の如くやっている事が、初めの頃は如何に困難で新鮮なことと感じたのは、私にとってはもう遥か昔のことのようだ。

手回しろくろの中央にせんべい状の”土台”をつくり、いよいよ一本目の紐土をおいてゆく。
一本目の紐がよく付いていないと、どんなにうまく積み上げても素焼きの際にトラブルの元になりますよ、と一言ことわりを入れる。

二本目から仕上げの紐までは、作業の繰り返しのみ。
会場にはしわぶきひとつ聞こえない。みんな各々紐をつくりそれを積み重ねる作業に没頭している。

ここから作業終了まで、私が沈黙を押し通せるのは集まられた皆さん方がこれから何回か経験を重ねられた頃の話になる。

”今”、目の前にいる生徒さんたちは”初心者”。

”丸紐になんない。きしめんみたいな紐になる。太さが一定じゃない。何本か積んだけど、薄い厚い部分がある。うまく積めない。”etcetcetc.。
陶芸教室って...タイヘンです.....。

狭い会場を、あちらはこう指導し、こちらはああ指導し、夜、宿に入って足がパンパンに張っているのに気が付きました。おかしいやらくるしいやら.....。それはまた、生徒さん側にとってみれば、肩が痛い、腰が痛いといった症状と相殺されるのかもしれない。

悲喜こもごもの”土あそび”の空間。   なかなかイイ時間でした。

どうにかこうにか各々の”作品”が仕上がる頃には、皆さんの顔にも 笑顔 が戻っておりました。
達成感 なんでしょうね。

写真をみれば一目瞭然ですが、教える人間はひとり。結果仕上がったものは様々ですね。

これがまた初回の面白さです。頭では理解していても、手が指がそのとおりにはならず.....。
「やきもの」に限らず、凡そ「芸事」はそれを繰り返すことが肝心なのですね。あらためて
生徒さんたちに教わった次第です。

”むずかしかったけれど面白かった。またやってみたい。次回はいつですか。”等々、みなさんどうも有難う。喜んでいただき私も感無量です。
第二回はギャラリーとの打ち合わせもありますし、まだ未定ですが、再会出来ればうれしいですね。その折には又どうぞよろしくお願い致します。

素人さんらが作り上げる粘土作品とプロの陶芸作品とは自ずから異なる。極あたりまえの事なのだが、お互いがその事を忘れてしまうと、要するに見境の無い”やきもの”が巷に氾濫する事になると思う。

”陶芸”は難しいが楽しい。ヒト本来の原始の心を呼び起こしてくれる。”楽しさ”を如何に教えてゆくか.....。

私自身、おもしろい時間空間を過ごさせていただいた。みなさんに感謝である。





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