陶器市考 2


写真はうちのテントから見て向かいの通り。“路地裏テント”へ行く坂道の所。坂脇には山野草の小鉢が百鉢以上並んでいる。これを撮った日は最終日なのでお客人もまばらである。

タイトルに「陶器市考」などと偉そうな書き方をしたが、要するに日々陶器製造販売で生計をたてている者の感想文である。

地元益子の市に参加してかれこれ四半世紀という時が流れた。いい時もあればそうでない時もあった。作る側も年齢を重ねれば、作品を買われるお客人もまた同様である。
一人で来られた方が二人になり、いつしか子どもを引き連れての益子行と相成っている。

人も変われば世情も変わる。”益子の陶器市”であるから器を買い求める客人で狭い通りはゴッタ返していた頃も.....両手に買い物袋を提げてリュックを器でぱんぱんに膨らませて人々は通りを往来していた。
今思い起こせば、あれがバブルの頃であったか.....水商売の方たちで終始する日もあった。私どもが何もせずとも、彼らが買いたいモノを求め、それをまた他の客に勧める。”この器使いいいゾ、あんたも買ってけ”といった按配で。私たちは奥で 御代 の事のみ心配して居ればよかった。冗談で、”いつも売って頂いて有難う。又よろしくね!” ”な~にウチらの方があんたらゲージツカと違って、売り方はお手のもんだからな”.....いい時代だった.....。

今や城内坂の通りも完全に整備され、民芸店もそれぞれがリニュウアルである。歩道も広くなった。やきもの以外の店舗が毎回増え続ける近頃の陶器市である。往来もヒトに限らず、最近はイヌも.....かなりな大型犬を連れた方もいれば、乳母車?と思いきや、イヌが乗っておられるのである。一匹のみならず二三匹用のものもある。今は慣れたが、初めて目にした折は正直驚きました。お犬様のおと~り~~~~~。
みな各々ゆうゆうと行き来していらっしゃる。ホットドッグを頬張り、中華まんを大口あけて食べ、実に平和な光景である。
やきものを買われている様子は、無い。

 ここからはお客人にはちょっと耳の痛いところかもしれないが.....訪れるヒト、モノが変化する中、ちょと目立つのが、ネギラー (作品=商品を値切る輩)の 質 である。

ギャラリー、画廊等で作品発表するのとは異なり、このような云わば ”お祭り会場”には必ずいる 輩 である。
それを 楽しみ にこられるのは、長年の経験でよく判る。
モノがよく売れて生活が潤っている頃ならばまだしも。今は現実は相当に厳しい時代である。我らやきもの屋(陶工、陶芸家、も含めて)も必死である。ショバ代(場所代)も支払えずにやめてゆく店も多い最近の陶器市、なのである。

テント店に入ってくるなり、作品は二の次で、”コレ、幾らになる?” ”〇〇です” ”もっとまけろよ、こないだ春の市の終わり頃きたら、〇〇の値段だったぞ” こういった事はかれらよーーーく記憶しているのである。あ~~嫌な奴の相手せにゃならんか、参ったなぁ.....。売れる日あらば売れない日もある。  こいつらが来る日は決まって 売れない日 なのだ。 こいつら な~んて言っちゃぁいけませんね。この方たち、このお客人、お客様.....お客様は神様です.....ジョーダンじゃねぇ、客も 人 だろうが、人間 じゃねえのか? あ~~だからか...そうかぁ...人、じゃないんだ。

サイトには”値切り方講座”の様な物まであり、驚くばかりだが。
関西の方たちがよく値切る、というのは昔からよく言う事だ。実際に店にも来られるからよく判る。値切り方の歴史があるからというと大げさだが、関西人のそれにはまったく 悪気 は無い。
相手の立場に立った(というのも変な言い方だが)値切り方がうまい。

ウジウジ、イジイジ、相手のウラを読みながら、こうかこうかとゾッとするような背筋の撫で方値切り方に出会ってしまうと、  ホントその日一日、否、翌日の午前中まで、後味の悪さが後を引く。

   人間万事 気は心 である。双方にいい気が流れたならば、私も 元江戸っ子!こころゆくまで引いてやる。
   人と人とのコミニュケーション云々。意外とこんな所にも出ています。それを面白がって居られた時代が懐かしいですが、最近は酷いものです。可愛気のある若い方の値切りならば、こちらも逆に、そういう時はこう言った方がいいよ、と言った会話にも発展しますが、いい年した野郎におじさん呼ばわりされて、態(てい)のいいアクドイ値切り方をシャアシャアとされたんじゃぁ、こちとらも身がもたねぇ。
   少なくとも、オジサンにオジサン呼ばわりされたかないね。あたしもいい年なんでアンタの方が年下だろうがな。 ったく、やってられねぇ場面も増えてます。
   来春から海炎窯☆作品店では、このような 輩 一切お断りします。疲れます、落ち込みます。まぁナメられてるこっちが悪いんでしょうがね..........。

いずれにせよ驚愕することは、時間をいやと言うほど費やした手作りの作品を 「値 切 る」という行為が私にはわからない。

「海炎窯☆作品店」では陶器市の際、通常価格から二割、作品によっては三割ひいて出品しています。それが全てではありませんが、基本的な考え方です、私どもの。リピーターの方々は重々承知してらっしゃいますが、改めてここに記しました。ご了解下さい。

ネギラーの方もどうぞお元気で。一期一会でしたね、お時間大切に。

次回は来春の市で行う予定の事に関して綴っていきたいと存じます。


       * マツモトさん、正アドレスは rokuro57@gmail.com です、宜しく。



   

   

   


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