展示会を終えて

   9年目の東京北千住展を二週間前の今日終えた。

   いつも思う事ではあるが、構想を練り、それを形にして、焼固める。

窯出し後、相当の処理を行い、リスト作り。梱包運搬して会場での舞台作り。

   流れる如く.....とは事は運ばない。アクシデントもある。それを乗り越えての

   展示会であるからある種の感慨はある。

   


   期間中、初日・土、日曜日・最終日・祝日はなるべく在廊したいのはやまやまなのだが、

   近頃はなかなかそれが出来ない。平日は平日でいつもどおりの作業を続けている。

   会場と自宅が近ければ、といつも思う。

   初日というものは何度体験しても緊張するものだ。最初の御客人が作品をみてどう思う

   のか何を感じるのか。大仰に言えば、それが以後の展示会の方向性になる。

   何事も繰り返す事によって、知恵がつく。その手練手管をどう扱うか、それは作り手の

   内なる喜びでもあるのではないだろうか? 観賞用の大きな作品でも食器類のような

   小さな作品でもそれは同じことだと思う。来客にどうアピールするか、それが問題だ。

   作りたい物をつくって、展示会の結果がまるく収まるのは余程の作家であろう。

   考えてものを創る。お客人の喜ぶ様を見たい。私はいつもそういう思いでものをつくって

   いる。



   今展示会でも様々な方とお会いした。おなじみさんとは旧交を温めあい、初めての方とは

   その人となりを感じさせていただいた。私が八丈島で修業していた頃からすれば、

   やきものの世界も随分と様変わりをしている。(この仕事でメシを食うには)、実に下世話な

   言い方をしたが.....並大抵のやり方では今や生き残れないと思う。

   仕事に身を捧げる、などという表現は又、若い人々には嫌われるだろう。が、意外とこの

   仕事、それが似合う業種、でもあるかもしれぬ。夢と現実を自らの内に秘めて、ひたすら

   ”つくる”ことに身をおく時間は尊い。

   次回ふたたび客人を あっ、と思わせる作品を手がけたいものだ。

   会場に足を運ばれた方重ね重ねどうもありがとうございました。

   又お会いしましょうね、私も楽しみにしています。

                                  海炎窯 主


   

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