むずかしいなと思うこと

何度もくりかえすが、40年以上この職についている。

ガス窯も500回以上焚いた。

これからあと何回焚くことができるのだろう
毎回毎回が新鮮さとの出会い。と書くと大げさなと
思われるかもしれないが、同じ土、同じ釉薬、を使用していても
窯の置き場所によって、その表情は微妙に変化する。と
こんな事も結局幾度も幾度も窯を焚き続けた結果わかった事だろうと
思う。

変化に応じて対処してゆくことが プロ なのかもしれない。

先日ゆえあって土(粘土)を替えてみた。成分的には現土と同等と
思って使い始めたのだが、実際この土を焼いてみてハタと気づいたのは
釉薬とのマッチングが、ある釉薬とは相性が良いのだが、ある釉薬とは
非常に悪く完ぺきなミスマッチだった。
ひらたく言うと、化粧のノリが以前に比べていまひとつ、なのだ。
やきものやにとって命とりという面もある。

若いころならば、これも想定内只今研究中でよいのだが.....。
ある年齢になれば研究に要する時間はわずらわしいものとしか
感じなくなる。

元に戻そう。そうするべきだ。と、もうひとりの自分が答えている。
培ったものを今までどおりにやり続ける事は意外と簡単なようで
むずかしい事なんだなと再確認した次第だ。

「欲」は果てしのないものだな。
目移りする。色気を出す。時として必要なことでもあるが、
ながくより確かなものを求めるには.....他局面を見つめつつ
一局面を保持することも大切なことではある。

そんな事を長年やり続けている気の遠くなるような作業の繰り返しの
過程でフト思った。

コメント

  1. わかるなあ。新しい物への挑戦も大事、でも 今まで培って来た物も大事。どちらかと言うと、通常使われている土と釉薬での仕事が主で、新しい土とかでの仕事は、一割有るかないかですか。でも挑戦し続ける事で、さらなる仕事の広がりが出てくるのでしょうね。頑張れ海炎窯!!

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    1. hidekobさんコメント感謝。この項は経験者にしか多分わからぬ事かもしれません。
      人は生きている限り 欲望 とは縁が切れぬものなのでしょう。うまく
      これからも付き合っていくつもりです。
      エール有難うございます。まだまだ頑張るぞ!!

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