わたしとあなたと

この人がいると仕事場の空気がピリリと締まる。

決してわたし一人の時にダラダラやっているわけではない。(言い訳がましいが...)

この人.....「妻」である。


強烈な暖気はこの仕事には不向きなので、写真にあるとおり仕事場はストーブ一台である。

彼女が行っているのは所謂 座り仕事。日がな一日この状態で作業するので体は冷える。

それなりの恰好で仕事するのである。お見苦しい点はご勘弁願いたい。

マスキングを筆を使って行い角皿のデザインを進めているところだ。

うち(海炎窯)では、ろくろ作業が出来ない彼女は主に たたら作業 をおこなう。

わたしは、


例によって窯焚きの準備だ。

写真のように、素焼きのかけらに釉薬を少し施してそれを先の尖った道具で引っ掻いて、その

厚みを確認している。



釉薬の厚みが決定していよいよ釉薬掛けに入りかつ窯詰めに移行する。

わたしとあなたと、もう何年この工程を繰り返していることだろう。

やきもの(陶芸)は、手仕事は、所作事は、ある意味 この 繰り返し が大切である。

基本をわきまえ応用に苦心し、自分に与えられた作業をくりかえす。

あっという間の一生であるからその瞬間その日その時間を大事にしなければならない。

あなたを思う時、よくぞついて来てくれた、と今でも感謝している。

出合い、ともに暮らし、果ててゆく。人の一生などというものは、他の万物の栄枯盛衰からすれば

吹けば飛ぶような一瞬の時間である。だからゆえに大切なものなのだと感じる。

やきものを通じて、表現者 の端くれの自分はこれからもどんどん 「今」 に見合った作品つくり

を続けたい。

あなたは たたら作業 をとおして、わたしは ろくろ作業 をとおして。

昨日一昨日を本焼き(窯焚き)で終わり、今これを記している。

あなたとわたしの二人三脚。

海炎窯でのおたがいの命を大切にしながら。


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