十日間の春の陶器市を終えて


やっと終わった、という感じである。先月27日~この6日までの春の市を終えた。年々客足は増え続けているようで、10日間通しで約50万人ちかい人が益子を訪れたようだ。東京からのバスの直行便もそれに一役買ったもようだ。私のテントにも“初めて来ました”という方々が随分いた。

個展グループ展の仕事と異なり、陶器市独特の雰囲気というものはある。会場設備だの売り上げ目標だのといった、いっさいのいわば 飾り気 を排除した所でおこなわれる商売だろうか。

無論売る側はまったくの構え無しでやるわけではない。ある程度の計算は必要であるのだが。
テントの中という、半自由空間での売り買い。そこで売られる陶器も決して高くない。もっというならば 安い。このポイントをしっかり押さえていないと、作り手は自己のあり方が不安定なものとなるだろう。構えず、抑えず、需要が何を求めているのかを探る良い場面でもある。

陶器市というある種祭り場面での風景でよくあるのは、“値切る”という買う側の行為だ。
“値切って当然”という方が必ずおられる。四半世紀も陶器市をやっていると、そういう方が私どものテントに入ってくると即わかる。におい、といってはその方に大変失礼な事ではあるのだが、
他の作品に混ぜて、少し価格高めの万人が好みそうな品を目ざとく見出し、ここぞとばかりに値切るのである。

値切るタイミングのうまい方、へたな方。うまい方は一応に話し方もお上手だし、へたな方は話し方もぞんざいで、売り手の優しい気持ちを逆撫でる事だけは群を抜いておられる。
売り言葉に買い言葉。こんなところにも相手との 間 が存在する。人間というものは面白いものである。その人らしさ、というものはこんな身近なところにも現れるものらしい。

それやこれやのお祭り騒ぎの陶器市。あと半年後には再び秋の市が巡ってくる。
どちら様もお元気で、そして再会また楽しみに。

海炎窯のテントを訪れた方々、どうも有り難うございました。
この場を借りて今回も御礼にて失礼致します。

                              海炎窯  主

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